予防はいつするの?

予防はいつするの?

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  • 子育て支援の取り組み

    5. 医師会の先生方・自治体担当者へのメッセージ

    岩田敏先生

    予防接種について、必要かつ正しい情報を保護者へ届けることが重要であり、任意接種ワクチンへの公費助成は子育て支援の大きなファクターになり得ます。
    国でも不活化ポリオワクチンの2回目追加接種など任意接種ワクチン定期化の議論が進められていますが、決定までにはかなりの時間を要します。
    医師会と自治体が連携し、率先して任意接種ワクチンの公費助成を進める活動を起こしていただけることを強く願っています。

    是松聖悟先生

    医療者は、保護者に対して正しい情報を積極的に伝える環境を整えなければいけません。特に、小学校入学前の時期は保護者への周知機会が減るため、市民講演会やwebなどでの情報発信が求められます。さらに、自治体に対して助成の要望を行うことも重要な取り組みとなります。
    自治体の規模によって取り組みは変わってくると思いますが、成功している自治体をモデルとして、それぞれの自治体に適うやり方で試していただければと思います。

    土居市長

    自治体は、担当者一人ひとりが「自分たちが子育て支援をやらなければ」という使命感をもって取り組まなければいけません。
    竹田市は、任意接種ワクチンの公費助成を通じて子どもたちを感染症から守っています。それに加えて、年に2回、夏と冬の長期休暇の前に、幼稚園、保育園などにワクチン接種の案内チラシを配布し、保護者への周知機会が減る小学校入学前の時期には、5歳児健診で保護者に直接、情報を届けています。
    ぜひ、各自治体でも子育て支援の取り組みの一環として、任意接種ワクチン助成の推進に取り組んでいただきたいと思います。

    表1 公費助成

    接種率の高い自治体では
    「子育て支援」として公費助成を実施

    公費助成を実施

    ワクチン公費助成の成功事例に関する論文紹介
    「不活化ポリオワクチン就学前追加接種の助成をしている自治体へのアンケート」

    是松聖悟先生

    小学校入学前の不活化ポリオワクチン追加接種の公費助成を行っている10の自治体を対象に、助成方法など実際の取り組みに関するアンケート調査を行いました5)
    回答があった9自治体のうち、助成があるにもかかわらず接種率が0%、1%の自治体がありました。
    当初、その理由の一つに「助成額の違い」が考えられましたが、各自治体の助成方法は全額、一部、助成券の交付など異なるものの、助成方法や助成割合の相違は必ずしも接種率に影響していませんでした。

    一方、接種率の高い自治体では、公費助成の理由を「子育て支援」と回答していました(表1)。感染症予防は「子育て支援」としても大変重要であり、ワクチンの公費助成もそれに該当すると考えられます。助成方法は全額でなくてもよいので、自治体も公費助成を実現させ、「子育て支援」として感染症予防に取り組むことが重要です。 助成がゴールではなく、「感染症から子どもたちを守る」ことを目指して取り組んでいただきたいと思います。

    5)
    久保田恵巳ほか. 日本小児科学会雑誌 126(11): 1512-1516, 2022.
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